返事の代わりに肩を少し竦めてみせると、千早はあからさまに落胆した。
感情表現が豊かでなにより。わかりやすいこと、この上ない。
というか、雨が止むのを待ってるんじゃなくて。
「俺のこと待ってたんだ?」
「うむ!」
「一緒に帰ると怪しまれるから時間ズラして帰ろうって、言ったの誰だっけ」
「ぐぬぬっ……!」
「自分が言ったクセに忘れんなよ」
「ちくしょおー!あたしとしたことがぁああ……!!」
ああああどうしよう割と長い時間待ってたあたし超バカじゃないかバカかそうだなバカだったくそう悔しい解せぬ……泣きたい……!!
と頭を抱えて嘆く千早。
もしも今、俺が傘を持っていたら、間違いなく千早と一緒に帰る選択をしてたけどね。なんていうのは、言ってやらない。
あいにくこちらも傘を持っていないし、だったらもうひとつの選択肢があるから。
「……じゃ、雨やむまで待っとくか」
「……うむ?」
「一緒に」
「……お、おう…?」
「ひとりじゃ退屈でしょ」
「……ひ、否定はしないけども」
千早は口を尖らせてもごもごとうなずく。
その隣へと足を運び、柱を背に寄り掛かる。
少し息をつく。雨音がより鮮明に、聴こえるような気がした。


