高校2年になると、のんびりやってられないんだって。
ミャーコはフローリングに寝転がりながらそうぼやいた。説得力ないけど。
夕方の風が、窓を開け放したリビングに音もなく舞い込む9月。
ミャーコが握る進路相談の紙が、シャカシャカとはためいた。
「進路とか言われてもまったくもって思い浮かばないんだが。」
「進学すんの?」
「んーまあねー。あたし一応特進だし。大学かなとは思ってる。」
「思い浮かんでるじゃん。」
「ぼんやりだから書けって言われたら困るって話だよ。」
「どこの大学かは決めてないの。」
「スーさんは『もうお前はいっそ東大とかに行ってしまえよ』とかほざいてやがりますけどね。」
「いいじゃんそれ。」
「いや別にあたし勉強が好きなわけじゃないし。」
大学行くと遊べるし楽だよーとか聞くから行こうかなって思ってるだけで。
ミャーコはそう言って、ごろんと寝返りを打った。