「……そっか」
わたしは、実瑠のお墓を見上げた。
「……わたしは、さ」見上げながら、わたしは言う。「時々、実瑠が生きてたらなあって、思ったりする」
隣で、少し、息を詰めるような、感覚がした。
「実瑠が生きてたら、わたしは一体、どんな人生歩んでたのかなあって、たまーに考える」
「……うん」
「だけど、たぶん、そんなことを考えてたら、実瑠は怒る」
「…………っ」
「怒るよ、実瑠は」
だって今、わたしでさえ、いまだに過去を背負い続ける、隣のキミに、怒っているから。
「ずっと後ろを向いてた。後ろを向いてたら歩けない。前に行けない。進めないじゃん。
振り向いたらこけるの。わたしは何度もこけたの。
時々休むのはいい。いいことだけど、でも振り向いたら、ダメだ」
「…………っ」
「置いて行って、いいんだよ。全部。背負おうとしなくても。
だってそうしないと、重いでしょ。
歩くの、つらいでしょ」
お墓から、視線を外す。
外して、隣の、有架を見上げた。
「わたしを助けてくれた有架が、わたしより後ろを歩いてたら、怒るよ」


