――。
しばらくして、目を開ける。
少しだけ痺れたような足に顔をしかめ、ふと存在を感じて、隣を見上げる。
有架がぼんやりと、実瑠のお墓を、見つめていた。
嗚呼また、そんな顔。
たまに見る、この表情。
夏になると、有架は決まって、こんな目をする。
重くて、消えそうで、水の底。みたいな。
きっと自分じゃ気付いてない。
高校から、だんだん回数は減ったけれど、それでも。
まだ。
まだ。
――ねえ。
「……今、なに、考えてる?」
口をついて出た、問いかけ。
有架は微かに、我に返ったような様子を見せて、こちらを見下ろした。
目が合う。
「……なに?」
聞き返される。
わたしの声が、聞こえてすら、なかったの。
「……今、」ゆっくりと、もう一度、問いかける。「なに、考えてる?」
「……いま?」
「うん」
「……別に、何も」
嘘だ。
そう言ってやりたかった。
でも言えなかった。
言えなかった。


