「未花子さんたちは?」
花を片づけながら、有架はわたしにそう聞いた。
わたしは手持無沙汰になった手をひっこめ、代わりに水を替えながら、答える。
「後から来るよ」
「そっか」
「うん」
短い会話をしながら、新しい花に挿しかえる。
残った水をお墓にかけてあげようとしたら、それも有架にとられた。
少しムッとして見上げると、「お前じゃ上からかけられないだろ」と、ごもっともなことを言われて、言い返せずに口ごもった。
長時間、太陽の日差しに当てられたお墓は、熱い。
「……もっとお水、かけてあげないと、実瑠、熱くないかなあ」
キラキラと、水が流れる墓石を見上げて、わたしはぼんやりとつぶやいた。
「……熱いだろうな」
空になった水入れに視線を落とした有架が、わたしのつぶやきに、小さく答えた。
線香を立ててしゃがみ込み、わたしは両手を合わせる。
目を閉じて落ち着くと、蝉の声が、やたらと大きく聴こえた。


