そのまま歩き出そうとしたので、さすがの俺も若干イラッときた。
中学の時遠足の弁当がガチ日の丸弁当やった時も怒らへんかった俺をイラッとさせるとかお前、上等やで。
「……おいそこのドライアイス野郎!」
前を歩く背中に向かって、怒鳴る寸前の声で呼びかける。
驚いたのか呼ばれたとわかったのか、たぶんどっちもだろう。ドライアイスのバカは思わずと言った様子で立ち止まり、バッと振り返った。
その目が丸くなっている。さっきまでの陰りが消えていた。
「な、お前、もしかしてそれ俺のことかよ」
「他に誰がおんねん」
「ふざけんな誰がドライアイスだコラ」
「ほんなら絶対零度て呼ぶわ」
「もっとねーよ!」
と、言ってからハッとしたのか、ヤツは慌てたように口元を手で覆った。
俺は一定の距離を保って歩くのをやめ、引っ張っていたチャリをカラカラ言わせながら気まずそうなドライアイスに歩み寄った。
そこで気が付いたけど、あれコイツ俺よりちょい背ぇ低ない?
まあどうでもええか、と思って笑った。


