その顔はちょっと意地悪く笑っている。
やられました。
「はい、ビンゴ」
「……うぅ」
ぐうの音も出ない私がうつむくと、有架はクスクスと笑った。
「だってお前、スランプになるといっつも俺の家来るから。いい加減わかるっつーの」
「私スランプじゃなくてもしょっちゅう来てるのに?」
「それでもわかる」
鞄を私に返しながら、有架はそう言って私の頭を軽くぽんと叩いた。
そっか、わかるんだ。わかって、くれてるんだ。
途端にうれしくなる。アイデアが浮かばなくて焦っていた心が、すぅっと軽くなっていく感じ。
有架は私にいつも欲しい言葉をくれる。たぶんヤツは無意識だと思うけど。
無意識なんてニクイ。だけどうれしいからどうしようもない。
*****
私がやるよと言ったのに、有架は「いーよ別に」と言って、結局ミルクティーを淹れてもらってしまった。
いつもは私が率先してやるんだけど、今日は私がアイデアで悩んでるからだと思う。
時々こうして私が逃げてくると、有架は決まって私が好きなミルクティーを淹れてくれる。くそう優しいんだから。
今日だってきっと有架も疲れてるのに。
大学で友達の話とか、誰かが話している内容に出てくる有架は、決まってちょっと冷たい感じの印象。
「ドライアイスとか呼ぶバカが居る」って前に聞いたことがあるような気がするけど、たしかに、それっぽいかもしれない。


