私も部屋に入り、先に部屋に上がった有架の後を追いながら尋ねる。
「ずっと大学に居たの?」
「いや、6時くらいまで。あとはちょっと手伝いとか」
「そうなんだ……」
たしかに今日、大学で見かけた有架はちょっと忙しそうだった。
押しかけてきて悪かったかなあ、と今更になって後悔してくる。
私は絵とかデザインとか、そういうことになると周りが見えなくなることが多い。
直さないといけないなあと思いつつも、どうしても無意識の方が勝ってしまう。
有架はテーブルの上にコンビニの袋を置いて、「そういえば」と。
「そういえば、お前鍵は?」
「えーっと、忘れてきちゃいまして……」
「慌ててたんだ?」
「……少し」
「ふーん」
曖昧に相槌を打ったかと思えば、有架はスッと私の方へ足を向けた。
それから私の目の前で立ち止まる。端正な顔が私を見下ろして、もう1年以上一緒に居るのに、それでもやっぱり、ちょっとドキッとした。
「……スランプ」
「え?」
聞こえた4文字に私は目を瞬かせる。
そうしているうちに私の抱えている鞄を有架はすんなり受け取り、閉め忘れたチャックの間から画用紙を取り出して、私を見た。


