「……えっと、なにか、用事があったんじゃない…?」
恐る恐る尋ねると、永瑠ちゃんはハッと我に返ったように。
「そっ、そうだった…!忘れ物!」
言いながら、慌てて教室に入ってきた。
そのまま自分の机に向かって行って、しゃがみ込んで中を漁る。
私は彼女の一連の動作を追う。
そうして机の中を漁る永瑠ちゃんをずっと見てたけど、どうにも探し物が見つからないようで、私は椅子から立ち上がって、彼女に歩み寄った。
永瑠ちゃんが私に気づいて、顔を上げる。
「何探してるの?」
「え、えっと……その……」
「ノート?教科書?」
「あ、あの、そういうのじゃなくて……」
「?」
「……ろ、ロリーポップ……」
「え?」
永瑠ちゃんの言葉が聞き取れず、聞き返すと彼女は首を左右に振った。
「な、なんでもないです……」
「え、でも探し物、ないと困るんじゃないの?」
「こ!…困らないから、い、いいんです……!」
振り切るように立ち上がった永瑠ちゃんは、俯いたまま。
私は彼女の黒髪を見つめる。


