――桜が舞っている。
あの日の雨のように。
桜が、舞っている。
『……卒業生、退場』
そのアナウンスと共に、俺たちは体育館を後にした。
長ったらしい式は、どっちかって言うと好きじゃないけど。
でもまあ、自分たちが卒業する学校の最後の式だ。
嫌いには、なれそうにない。
「千早、もう帰ったかしら」
俺の隣で、花梨が心配そうに呟く。
そう言えば、ちーちゃん、卒業式の直前に倒れたんだっけ…。
卒業式前夜に徹夜でネトゲとか、さすがちーちゃんって感じだ。
春になると、どうやらちーちゃんは寝不足が続くらしい。
夜、眠れないんだそうだ。
…一ノ瀬が、居なくなってから。


