「あ゛ぁああ――ッッ!!!!びしょ濡れじゃねぇかよ!!どうしてくれんだ!!」
「いいじゃん。俺も一緒だし」
――そう言って笑う一ノ瀬の、ガキみたいな笑顔を見たのは、この時が、もしかしたら、
最初で最後だったかも知れない。
「…まあいいや!雨もやんだし、さぁ帰るぞ!」
「そうだな」
「風邪引いたら一ノ瀬のせいだかんな!」
「安心しろ。バカは風邪引かないから」
「だからそれを言うんじゃねェ!泣くぞコラー!」
「ははっ」
びしょ濡れで、それでも笑いながら、二人並んで帰った、放課後。
あの瞬間を、俺は一生忘れないと思う。
キラキラと輝いていた、あの刹那の時間。
俺には何故だか、忘れない、そんな自信があるんだ。


