「……そうですね、とても。」
「でも、嫌いじゃないでしょ?」
…………。
「……まあ、そうですね。」
たっぷり1分。間を開けて答えた。
すると先輩は笑った。おかしそうに笑った。
表情がコロコロ変わる人だな、と先輩を見ているといつも思う。
「あたしもね、嫌いじゃないよー」
笑いながら先輩はこう続けた。
「そんな坂本クン、あたしは好きだよ!」
……なんだそれ。
と、俺は息をつきながら、椅子の背もたれに頬杖をついた。
「……それ、笑い飛ばしていい系ですか?」
「さあ、どうだろうね?」
あははっ。
とても楽しそうに笑う先輩を横目に、俺は心中で深いため息をついた。
どうだろうね?じゃないですよマジで。
さてどうしたもんか、と俺は思う。
このまま脇役を続けるか、それとも――。
――いや、やっぱりもうちょっと考えておく。
何故なら主人公というものは、脇役よりも至極、面倒くさそうだからである。
それでもいいかと、思えた時にでも、また。
【end.】


