「……4つも取っちゃったの?」
「取っちゃったんです」
「なにそれすごい!あたしでも4つはとったことないよ!」
“あたしでも”というところで先輩のレベルがうかがえる。
先輩は「すごーい」と何度か高橋に向けて言ったあと、何故か俺の方を向いた。
「つまり高橋クンが坂本クンに勉強教えてほしいって頼んでるんだけど、坂本クンが全力で却下してるって感じ?」
ズバリだ。
「ご名答です。」
「やっぱり!?あははーなんかそんな気がしたんだー!」
先輩は楽しそうに笑ってから、「じゃあ」と。
「じゃあ、高橋クン、頼む相手変えてみたら?」
「え、誰にです?」
「んーっとね、今回のテストで1位だった女の子だよー」
「…………。はい!?」
途端に高橋の顔色が変わる。
今回のテストで1位だった女の子。それは言わずもがな。
「神坂レイか。」
「おい坂本!」
俺が名前を口にした直後、高橋の顔に焦りが見え始めた。
同時に赤くなっている。何故そこで赤くなるのか意味がわからない。


