「ま、そんな簡単に忘れられるわけないんだからさ」
「…………。」
「思い出しちゃったなら、それでいいじゃない。思う存分思い出して、思う存分後悔したらいいのよ、キョウちゃん」
「…………。」
「泣きたかったらあたしの胸を貸してあげますわよ?」
「結構です。」
即答してから、京は顔を上げた。
夕暮れの空を、見上げた。
「……好きになってよかったですって、北沢さん。」
「ん?」
「言ってくれた。」
「そっか」
「あたしさ、アイツに出会ってから、自分の惨めさとか情けなさとか、本当はまだまだひとりじゃ立ってられないんだって痛感させられたりとかしてさ。
またいちから成長していかなきゃなとか思ってて。」
「うん」
「そんなダメなあたしのことをさ、好きになってよかったって、思ってくれる人が居てよかったなって、思った。」
「……うん」
「あたしも、アイツの事好きになってよかったなって、思った。」
「……そっか」


