『――ハイ邪魔』
――バキッ!
と。
鈍い音が響いて、わたしの肩を掴んでいた男性が視界から消えた。
代わりに、違う誰かのシルエットが映る。
綺麗な長い黒髪、手足の長い抜群のスタイルにはどこかの学校の制服を着ていて、そして極めつけは、一度見たら忘れられないほどの美人。
その人は、わたしが呆然と見つめている間にも、わたしを囲んでいた彼らを、表情一つ変えずに倒していく。
ひとつひとつの行動が、スローモーションのように、わたしの脳内に焼き付いて行った。
そうして彼らが慌てて逃げていくのを見送ってから、美人のその人は、初めて、わたしに顔を向けた。
目が、合う。
『……大丈夫?』
――落ちた。
自分でも驚くくらい、簡単に、あっさりと。
わたしはその瞬間、その人に恋をした。
その人が女の子だったな、と思い出したのは、それからフミがやってきて、その人の話をしている最中だった。


