鼻歌を歌う彼女を見下ろす。
リズムに合わせて小さく揺れる頭。
長い髪の毛が一束、華奢な背中を滑り落ちた。
不意に抱きしめたくなる衝動。
それを抑える確かな理性。
時々思う。
自分が“キャラクター”じゃなかったら、なんて。
普通の人間だったなら、どんなによかっただろうと。
だけどもしそうだったらきっと、君とは出会えてなかっただろうって。
実を言うとそれは、否定できない事実なのだ。
偶然が重なって出会った、ゼロに近い確率。
感謝したいとは思うけど、素直に感謝しきれない感情。
理不尽でヒドイ話だ、まったく。
勝手に好きにさせておいて、一緒に居られる時間は限られているんだから。
「……時にカイトさん」
千早の声に目を開ける。
顔をそちらへ向けると、千早が不思議そうな表情で俺を見上げていた。
「どったの?」
「……いや、別に」
「むう……あ、それよりも今日晩御飯何がいいっすか?」
「インスタントじゃなければなんでも」
「わかってるし!!もうインスタント使ってないし!!千早サン最近マジ頑張ってるし!!あたし偉い!!誰か褒めろ!!」
「えらいえらい。」
「解せぬ!!」


