よろず屋本舗。





桜が開花の準備を始める、3月。


3月。
先輩の居なくなる季節。



「……キョウちゃん先輩、3年生でしたよね」


わかっているけど、どうしても聞いてしまう。

先輩はいつもの表情でおれを見た。


「うんまあ一応ね。」

「じゃあ、もうすぐ卒業しちゃいますよね……」

「……まあ、あたしも15歳ですし。」


15歳になると強制的に中学追い出されるんでね、と先輩は言った。

いつもの調子で言われて、なんとなく寂しい。

隠そうとしてもその寂しさは、ちょっとおれには、上手く隠せなかった。



だって先輩と過ごした2年間。

いつだっておれは先輩と一緒に居たんだから。

入学式の日に先輩を見つけて、その1ヶ月後に保健室で出会って、それから先輩は何かとおれの世話を焼いてくれて。

修学旅行のお土産もくれて、思い出話もしてくれて、勉強も教えてくれて、服の畳み方まで教えてくれて。

体育祭で保健室に居たおれを呼びに来て、大丈夫なような競技に参加させてくれて、テスト期間はうちに来て夜中まで勉強したりして、そのまま寝落ちしたりして。

おれが勝手につけた「キョウちゃん先輩」なんていうあだ名を、「おいやめろ。」と言いながらも呼ばせてくれて、いつも保健室で落ち込んでるおれを尋ねて来てはそれとなく励ましてくれて。

数えきれないくらい、先輩との思い出ができていた。