「ヤス、陸が来てんぞ」
「あ?」
陸が?
何の用だよ。
今俺ってばすげぇナィーブだから。
触れただけでマジで爆発するからね。
「何?何か用か、陸さんよう。あのね今俺気分最悪なの。分かる?ジャージなら勝手に使っていいから。ちょっと今は一人になりた……」
「お前、フラれたんだってな」
ブチりと。
自分でも青筋が浮かんだのが分かった。
「おいてめぇ!今の俺の話聞いてた?!何でそんな直球ストレートなんだよ?!そこは軽く変化球投げてこいよ!」
「いや、俺キャッチャーだし」
「お前の野球事情なんか知らねんだよ!!」
何でそこで真顔で言えるのかな!陸くん!
怒るよ?
俺怒っちゃうよ?
は?もう怒ってるって?
うるせぇ!こいつぁキレてんだ!
「いやキレてる方がヤバくね?」
「うるっせぇんだよ外野あぁ!!」
「わ、わりぃ!」
俺より頭ひとつ分背の高い陸の顔を睨みつける。
「おいほんといい加減にしろよ、何なんだよ。笑いに来たのか?」
「ヤス……」
「あ?」
何を思ったのか陸は俺の肩を叩いて、とんでもない爆弾を投下した。
「フラれたからって人様にアタるんじゃねぇよ」
「…もうほんとお前何しにきたの」
マジで言ってんのかよ、こいつ。
馬鹿だろ、いや阿呆か。
「コンマ5秒でフラれた親友を慰めに」
あ、ちげぇわ。
こいつただのKYだわ。