「蓮太郎に先を越されてしまったな」

目がハートなあたしたち親子を見て
’一本取られたな’
って顔をしたケンジさん。


コースはシャーベットとお肉の後

ほどなくでデザートが運ばれた。


「どんなタイミングがいいかさっぱりだ」

そう言ってケンジさんは
胸ポケットをゴソゴソしながら
お母さんのほうに近づいてきた。


「結婚してくれませんか?」


そういって指輪を出した。


涙目のお母さん。


ケンジさんはあたしの方をむいて

「結婚させてください」

と深々頭を下げた。


嬉しくてまた少し泣いてしまった。