「……そうだ。」

木村は少し威嚇するように、足を開いてスタンスを取った。

「君が"蒼眼"…。確かに美しい瞳だね。」

三蔵の横に佇む夜蝶、四郎が演技ったらしい動きを交えながらそう言った。

「重三兄様ったらだらしない…。"暗愚帝(アングテイ)"なんて呼ばれてるだけあるわ…。」

あきれたようにため息をつきながらツインテールの少女、従子がそう呟く。

「愚弟ではあるが…目の前で倒され、放っておくほど白状な兄ではない。」

三蔵はそう言って2人より一歩、前へ出た。

「私が相手をしよう。お前たちは重三を連れて下がれ。」

「僕は望みはしないが……立ちふさがるのであれば。」

木村は刀を持った手を突きだした。

周囲に張り詰めた空気が満ちていく。

「やめなさいっ!!」

その空気を破ったのはなんと、朝日だった。

「君は…。」

「あんたたち…そんなに戦いが好きなの!?」

極限の緊張下で叫んだ不思議と朝日の声はよく通っていた。

「無駄な争いばっかりして…巻き込まれるのはいつだって私達一般市民じゃない!」

朝日は立ち上がり、言葉を続ける。

「話し合いを放棄して、止められる戦いを止めないあんたたちみたいなやつがいるから……」

一瞬、言葉につまり朝日はうつむいた。

「……いるから…っ!」

「……あの女、煩いですわね。」

不快な顔を浮かべた純子は、その小さな拳に30cmほどの直鞭を握りしめた。

一瞬の溜めの後、勢いよく朝日に向かって襲いかかる。

「!」

「綺麗事をっっ!!」

朝日に向けて、唸りをあげる直鞭が降り下ろされた。