世界で一番大切なもの

「で、なんで予定より早く帰国したの?」



「ん、ああ…」



逸れてしまった話を京介が戻す。



「葵とのこと、はっきりさせようと思って」



もう18歳だし。



そろそろ、だ。



「でも、それは別に急ぎだったわけじゃなかったんでしょ?」



「おう、あとは…日向、がさ」



「ヒナちゃん?」



京介が不思議そうに首を傾げる。



「最後のメールが気になったからさ…」



「メール?」



留学中、日本の情報を随一送ってくれていたのは日向だった。



葵は、出発の日から俺を避けたし、



極度の筆不精、メール不精の京介。



こいつらが送ってくるわけがない。



葵や京介の近況報告も、日向がやってくれていた。