ピンポーン。



俺の家とはまた違った、洋風の屋敷のチャイムを押す。



『はい』



「桔平です」



『あらあら、桔平さん?ちょっとお待ち下さいね』



インターフォン越しの会話を終わらせて数秒後、



目の前の大きな門が開き、懐かしい顔が出迎えてくれる。



「お久し振りです、桔平さん」



「元気そうだね、おイネさん」



「お陰様で」



おイネさんは深々と頭を下げる。



「あいつ、います?」



「はい、自室の方にいらっしゃいますよ」



そう言って、おイネさんは家の中へと案内してくれる。



「寝てらっしゃるかもしれないので、お気をつけ下さいね」



寝てるのか。



そりゃ、厄介だな。



…関係ないけど。



「では、また」



「うん、ありがとう」



部屋の前でおイネさんと別れる。