無常にも時は過ぎる。



あっという間にHRは終わって



「葵」



桔平が迎えに来る。



京ちゃんが、少しだけ心配そうに見てたから

「……行ってくるね」

と一言だけ、言った。



京ちゃんも

「行ってらっしゃい」

と一言だけくれた。



あたしは深呼吸を一つだけすると、桔平の元へ歩き出した。









「葵ちゃーん!」



桔平と廊下を歩いていると、大きな声で名前を呼ばれる。



「伊東くん」



心なしか、桔平のことにらんでる気が…



桔平もにらんでるし…


あたしがオロオロしてると、伊東くんは




「…じゃあね、また明日」



と言って、行ってしまった。



伊東くんが行ってしまったあと、桔平はあたしの手をギュッと握った。