世界で一番大切なもの

「きょ…ちゃ…」



「あー、はいはい」



京ちゃんは、よしよし、と撫でてくれる。



止まっていた涙が、また溢れてくる。



「決めた…のにッ…会わないって……決めたのに」



1日ももたなかった。



「だから言っただろ、桔平がそんなの許さないって」



「……ッ」



「集会終わった時、俺のところにきて、第一声が、葵どこ?って」



「……ッ…」



「ちゃんと話しなよ」



優しく諭すように京ちゃんが言う。



「桔平の話も聞いて、葵の決意も伝える」



「あたしの、決意……」



「その上で、2人がどうするか決めなさい」



京ちゃんはそう言うと、くしゃくしゃっとまた撫でてくれた。