世界で一番大切なもの

「なあ」



桔平の後ろから、京ちゃんが出てくる。



「とりあえず、お前ら相当な注目浴びてる」



そう言われて初めて、そこにいる全員の目がこっちに向いてるのが分かった。



あたしは急に恥ずかしくなって、ゴシゴシと涙を拭く。



「京、ちゃん…」



あたしは助けを求める視線を送る。



京ちゃんは、はぁーっと溜め息を一つ落とした。



「桔平、もうHR始まるから」



桔平はジッと京ちゃんを見つめると、フッと笑いを零した。



「相変わらずだなー、京介」



「まあね」



「放課後また来る、京介、葵逃がすなよ」



それからあたしの頭をポンポンと撫でると、桔平は行ってしまった。



それと同時にギャラリーもいなくなって、



残ったのは、京ちゃんとあたし、それから伊東くん。



京ちゃんは、あたしのところまで来ると



ポンッと頭を撫でてくれた。