「 ・・・・・あっ 」





いつも遠くから見ているせいか、
至近距離に居る彼に夢中になっていた。
後ろから、横から、そして今日は
目の前に居る。





”綺麗だな”と惚けていたら
電車が揺れて、持っていた本を
落としてしまった。










───────────ガタンッ





「 ・・・大丈夫ですか? 」





綺麗な長い指が、その本を拾って
汚れを掃って手渡される。





今日は、一体なんなんだろう。