Black Coffee.






「 菜緒さん 」


「 うん? 」


「 今日も、来てくれますよね? 」





散々笑ったあと気付けば大学の前まで
来ていて、”また後で”と言おうとした
あたしはつい固まってしまった。





「 ・・・・菜緒さん? 」





本当に彼は天然なんだろうか。
たぶらかされてるんじゃないんだろうか。





女のツボを的確に突いてきて
だけどそれは無意識で。





「 ・・・・行きます 」


「 じゃあアレ作って待ってますね 」





”また後で”と彼は手を振りながら
去っていって、いつまでもその背中を
見送りながらあたしは小さく溜息を吐いた。