「 菜緒さん 」
「 うん? 」
「 今日も、来てくれますよね? 」
散々笑ったあと気付けば大学の前まで
来ていて、”また後で”と言おうとした
あたしはつい固まってしまった。
「 ・・・・菜緒さん? 」
本当に彼は天然なんだろうか。
たぶらかされてるんじゃないんだろうか。
女のツボを的確に突いてきて
だけどそれは無意識で。
「 ・・・・行きます 」
「 じゃあアレ作って待ってますね 」
”また後で”と彼は手を振りながら
去っていって、いつまでもその背中を
見送りながらあたしは小さく溜息を吐いた。

