Black Coffee.






ハッ、として口元を押さえれば
彼は少し驚いたように首を傾げたあと、





「 ・・・それ、オーナーにも言われたし
  友達にもよく言われるんですけど・・・ 」





”俺ってそんなに天然っぽいですか?”
本当に不思議そうに首を傾げる彼は
本能のまま生きているだけなんだろうな、と
思えば自然と笑いがこみ上げてきて、





「 菜緒さん、笑いすぎですよ・・・ 」





少しむっとした彼を横目に
”ごめんね”といいながら
あたしはしばらく笑い続けていた。





こんなに天然な人、今までに居ただろうか。





「 楓くんはそのままがいい、っていうか
 そのままで居てくださいね 」


「 ・・・天然のままで、ってことですか? 」





笑いすぎて涙を浮かべながら頷けば
”それは嫌ですよ”と彼は苦笑していた。