「 ・・・顔、真っ赤ですよ? 」 ハッと我に返って、至近距離で やっぱり少し心配そうに顔を 覗き込まれて何歩か退くと ははっ、と彼の笑い声が響いた。 「 菜緒さん、帰りましょう? 」 「 あ、はいっ 」 遠くで見ているだけだった彼が たった一日でこんなに近い人に なるとは思ってなくて、 本当に、一生分の運をたった 一日で使い果たしたんじゃないか、 なんて思いながら前を歩く 彼を追いかけていた。