あたしの、大好きな人。 驚いた顔で、そっと自分の 唇に触れて、 「 菜緒、さん・・・? 」 ひどく戸惑っている彼から そっと離れた。 空のグラスにそっと触れて、 「 ありがとう。ドリンクすごく 美味しかったです。 レモネードも、このドリンクも 大好きです 」 ─────────それから、楓くんも。 泣きながら、笑って、 「 ・・・・・・さようなら 」 「 あ・・・・菜緒さんっ!! 」 一ヶ月前と同じように、 あたしはお店を出た。