Black Coffee.






「 菜緒さん? 」


「 え? 」


「 駅、こっちですよ? 」


「 ・・・あれ? 」





お店を出て、駅とは真逆へと
足を進めていたあたしの腕を
くいっ、と掴んで引っ張って
”どうしたんですか?”と
ちょっと心配そうに顔を覗き込まれた。





「 あ、いえ!なんだか
  ボーっとしちゃって・・・ 」





すいません、と謝れば彼は
可笑しそうに笑って手を放した。
元の道へと向き直った彼の少し
後ろをゆっくり歩きながら
店主さんの話を楽しそうにする
彼に見惚れていた。