Black Coffee.






「 菜緒さん 」





名前を呼ばれて
顔を上げれば、
目の前にレモネードとは
違ったドリンクが入った
グラスを差し出された。





「 次、ここに来るときは
  菜緒さん疲れてるかな、と
  思ったんですよ 」


「 ?・・・はい 」


「 それで、この一ヶ月間で
  栄養ドリンク・・・もどきを
  作ってみました 」





”栄養ドリンクもどき”と
言われたそれは黄色で、
なんだか少しすっぱい匂いがした。





「 野菜をうまく混ぜる自信が
  なかったので、とりあえず
  栄養のあるフルーツを混ぜて
  作ってみたんですよ 」


「 ・・・・そう、なんですか・・ 」





仕事が大変な舞さんを思って
作ったドリンクじゃないのかな、
なんてネガティブな考えばかりで
グラスを掴んだ手に妙に力が入った。