キーンコーン…

「はぁ…、また授業でれないや…」
5月某日、
春だというのに暑い。

非常階段には男子生徒の格好を装った
少女が独り。

あたしがこうしてここで風にあたっているのは
言うまでもない。
イジメだ。

あたしは

“ 東雲 楓 ”

ある女子のグループのボスらしき女と肩がぶつかった、それだけの理由でイジメを受けることになった。

普段は普通に教室で汚い制服に汚い机に汚い容姿でいるのだが…
まぁそれもあのグループのせいだが。

ボスの機嫌が悪いとイジメの酷さが増す。

今日は機嫌が悪い。
だからそれを避けるためにこうして男子生徒の格好をしてここにいるのだ。

ここは独りで誰にも邪魔されないで良い環境だな。

…誰にも邪魔されない。