15年以上の片想いが、突然終わりを迎えた。
こんなにもあっけなく、こんなにも唐突に。
私はずっと優兄ちゃんのことを想い続けてたがゆえに、
23歳にして、恋愛経験ゼロ。
末っ子のくせに誰かに甘えるのが苦手で、不器用な性格も相成ってか、
誰かに告白されても、普通に恋愛をすることができなくて…
23年間、男の人と付き合ったことも、キスだって経験なかった。
私の体にも、心にも…
まだ誰も触れたことなんてない。
“好きだよ、咲。
これからは俺が、ずっとそばにいる”
…そんな私の、長年塗り固めてきた殻を突き破るように、
涼は私に好きだと言った。
私の体を抱きしめた。
お姉ちゃんたちの結婚式の日。
私は涼に、キスされた。
しかも、2回も。
それだけじゃない。
あいつ、私を嫁にもらうって……
「……い、おいっ!」
「ぎゃぁっ」
突然呼ばれて、私はベッドの上で飛び跳ねた。
涼がドアの所に立っている。
「いつまでその格好でいんだよ。
早くおりてこいよライオン」
「ら、ライオン?」
「お前の頭な」
「なっ、ふざけんなバカ!」
私は涼に向かってカッと怒鳴った。
……なのに、私の心臓はさっきからドキドキいってせわしない。
最近の私はおかしい。
私の心臓がおかしい。
私の心臓は、涼に反応してしまう。
あの日、涼に好きだと言われてから…
あの日、涼に抱きしめられ、キスされてから…。

