今では12歳上の優兄ちゃんと並んでも、ほとんど背が変わらない。
子どもの成長とは、恐ろしいものだ…。
だけど、大きくなったのは体だけだはない。
「…ったく、なんで起きれねーんだよ。
ガキじゃあるまいし」
「あっ、あのねぇ、私は社会人なの!
毎日仕事で疲れてるんだから、日曜にしか寝溜め出来ないのよ」
「ふーん…
俺との約束より、寝る方が大切ってわけだ」
「そ、そう言うワケじゃ…」
涼が睨みながら、じりじりと私に迫ってくる。
「…咲、今俺ら、ベッドの上ってわかってる?」
「!!?」
…いやいや、私、寝起きだし!
すっぴんだし!
てゆーか…
涼の手が、そっと伸びて来た。
キ、キスされる……?!
私はギュッと目をつぶる。
「……すげー寝ぐせ。
ある意味芸術的だな」
涼が私の髪を摘まんでそう言った。
「…んなっ?!
ばっ、バカ!!出てけ!」
私は思いっきり枕を投げつける。
涼はそれをヒョイとかわすと、部屋を出て行った。
……このデカすぎる態度、どうにかならんのか。
私の方が5歳も年上なのに、涼は完全に私を見下してる気がする。
無邪気で可愛かった涼が、遠い昔のことのよう……

