Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜



「なに?」

「いや、何でもない」

涼がそう言って、ふいと顔をそむける。



「何よ、気になるじゃんか」


「それより、明後日」

「え?」


「今度こそ、絶対早く起きろよ」

「え…」

「デート。映画、公開終わっちまう」



“デート”という単語に心臓が飛び跳ねた。


普段、私には縁のないものすぎて……




「朝、10時に迎えに行くから。

わかったか?…おい、返事!」


「はっ、はい!!」


私は慌てて声を上げた。

涼はそんな私を、どこか疑いの眼差しで睨む。


「なによ、その目は!」

「…いや…今度起きてなかったら覚悟しとけよ」



気付いたら家の前だった。


「じゃ、おやすみ」


ポンと軽く、私の頭に手を乗せた。


「…うん、おやすみ」



そう言って涼は、家の中へ入っていく。

その姿を見届けて、私も家に入った。



…涼は一体、どういうつもりなんだろう。


あれ以来、私のこと好きとも言わないし、

抱きしめたり手を繋ぐことすらないし…


だけどこうやって迎えに来たり、デートに誘ったり…


それって、幼なじみとして?


……よくわからないよ、私には。