“アメとムチ”かぁ…。
考えてみたら、優兄ちゃんに叱られるとかあんまり記憶にないも…。
優兄ちゃんはいつも優しくて、きっと私はお姉ちゃんより年が離れてたから、
優兄ちゃんは私に甘かったんだろなぁ…。
涼に対しても甘々だし…きっと私たちに対しては強く言えなかったんだね。
それに比べて涼には、最近怒られてばっかかも…。
もっと男を警戒しろとか、
早く起きろとか…
大学生の涼に叱られるなんて、私って情けない…。
…って、違う違う!
今はそんな話じゃなくて!
「やっぱ私にはよくわかんないよ…。
私にとって優兄ちゃんも涼も大切な存在だけど、
涼が恋人になるとか、うまく考えられない…」
それは私が“恋愛”を知らないからなのか、
それともただ目を背けてるだけなのか…
「うーん…そうねぇ…
私は、優ちゃんと手を繋いだりキスしたり、深く抱き合ったり…
そういうことをしたいって思った。
それって単なる“幼なじみ”じゃしないことでしょ?」
「そ、そっか…」
お姉ちゃんの言葉に、心臓が早くなった。
相手にもっと触れたいと思う。
それが“幼なじみ”と“恋人”の違い?
“普通の好き”と“特別な好き”の違い…?
私はどうだろう…。
最近の私は涼に触れられるって考えただけで、こんなドキドキして…
苦しいのに……
怖いのに……
これって、どういうこと…?

