…与えたい。
もらうばかりではなく、自分も相手のためにしてあげたいという気持ち…。
私は今までどうだった…?
優兄ちゃんに対して、
甘えたい、自分を受け止めてもらいたいって、そんなことばかり考えて、
お姉ちゃんみたいに、私が優兄ちゃんを支えたいなんて考えたことあった…?
…私はいつも自分のことばかりで、
大切なものを見失う。
「…優ちゃんね、私のこと叱ってくれたの。
私、咲のお姉ちゃんなのにお姉ちゃんらしいこと全然出来てないし、
むしろ咲の方がよっぽどしっかりしてて…
そんな自分がずっと嫌だった。
だけどお父さんが亡くなった時、悲しくて咲のことまで考えられなかった私に、
“僕の前では泣いて良いから、咲の前では涙見せるなよ。
美菜子が泣いてたら、咲が不安になるぞ”って…。
優ちゃんは、私のダメなとこも全部叱って、受け止めてくれた」
そう話すお姉ちゃんの表情は、今までに見たことのない優しい表情だった。
私は黙ってお姉ちゃんの言葉に耳を傾ける。
「…なんて言うの?
優しいばかりじゃなくて、ちゃんと厳しくもしてくれる。
砂糖とスパイス…じゃなくて、えーと」
「アメとムチ?」
「そう、それ!
それって相手のことを想ってるからこそでしょう?
だからこそ私は優ちゃんの愛を感じたし、私も優ちゃんを愛しいって思った」
“だから私が優ちゃんを叱る時もあるのよ。
優ちゃん、ああ見えて自分のことに無頓着だから“
そう言ってお姉ちゃんは笑った。

