「おはよう」 雑誌のようなものを読んでいた日向は顔を上げて言った。 「おはよう、日向」 私は挨拶を返して深呼吸をした。 「日向…大事な話するけん、聞いて?」 日向は雑誌を閉じて私を見た。 「うん。ちゃんと聞く」 「私と曽我部 日向が初めて会った時のこと覚えとる?」 あれは高2になる前の春休み。 「うん。俺は美春が分からんかって…」 「そう。あの日、お母さんが病院に運ばれとったんよ」