「曽我部 日向は記憶を取り戻しかけとる」


思ったとおり、翔太の目は大きく見開かれた。


「どういうこと…?」

「今朝職員室に行ったらね、先生が言いよったんよ。曽我部 日向が私の苗字のこととか聞いてきたって」


翔太の顔は複雑な顔になった。


「美春は…曽我部に思い出してほしい?」

「それが…分からんのよ。思い出してほしいけど、今の日向には今の日向で幸せがあると思うんよ。それに、家族やっておるはず」


そう、私にも再び家族ができて今が幸せなように、日向やって…。


「じゃあ、自然な流れに任せる?」


翔太はやわらかく微笑んだ。

その顔は、昔の日向によく似ていると思った。