「翔太…私、怖い。もしかしたら日向にとっては思い出したくない記憶かも知れんのよ?それを…私が引き出してええん?」

「美春にとっても今は辛いんやろ?毎日辛そうやもん。美春は隠せとるつもりやろうけど…」


翔太…。

私は胸がいっぱいになって涙が出てきた。


「美春?私、あんまり事情分からんけど、私も手伝いたい。美春が辛いんはみんなが辛いんやけん…」

「歩美…翔太…」


私はいい恋人と親友を持った。

生まれて初めてそう思った。


「佳苗さん…」


私は点滴を交換している佳苗さんに声をかけた。


「私…いつ退院できますか?」

「そうやねぇ…先生は本人が退院したがったらすぐにさせるって言いよったよ?」


佳苗さんは私にウインクしてみせた。