ショウマは人間だから、猫族の靴箱なんか身体のどこだって隠せちゃうもの。


「履かせて」

「はい」

 座りショウマに後ろ足を出す。

 ショウマは膝まついたまま、私の後ろ足を受け取るの。

 ふわりと繊細な硝子細工でも扱うかのように、ショウマは私の足を扱う。

 ショウマの手は最高だ。

 わたし達猫族のように可愛らしくも美しい肉球もないし、いざというときにシャッキーンと伸び武器と変化する爪も無い。

 しかも、猫として一番重要な身体を覆う毛皮が無い。

 それでも、マッサージするように足を擦りながら、靴を履かせてくれるショウマの手は、神がかった動きを見せてくれるの。

 すべらかな手は毛皮の手触りとは、違うなめらかさ。

 なーんだか気持ち良くなっちゃうのよねー。

「既製品ですから少々調整しなければなりませんね」

「──あ、そ、そうにゃ?」

 やばっ! うとうとしてた。

「歩いてみて頂けませんか?」

「別に要らないにゃ。どーせ、外出する時はいつもお着物か袴だもの。この靴で外は出歩けないにゃ。だから室内でこっそり履いて楽しむためだけのもの。別に合わせなくても良いのにゃ」