「ショウマ! どこにいるにゃ!」

「はい、モモ様。只今参ります」

 ニャオン国の由緒正しき華族、モモの私の前に現れた人間──ショウマはわたしの下僕。

 ニコニコと害の無い笑顔で、わたしの前へやってきて膝まついた。

「遅いにゃ。わたしが頼んだ用立ては済ませたのにゃ?」

「はい、勿論です。ここに……」

 ショウマは恭しく箱を差し出してきた。
「開けなさい」

 わたしが命令すると、はい、と素直に箱の蓋を開ける。

 そこには、淡いピンク色のヒールが一足。

 取りだし、うっとりと眺める。

 欲しかったんだあ、これ。

 踵の部分にはリボンとクリスタルの鈴。

 歩くとチリンと清らかな音が鳴る。

 この前の舞踏会で、商人上がりの男爵の娘が履いていたの。

 あれは赤だったけど、わたしにはあんなどきつい色は似合わない。

 わたしの毛並みは白だもの。