私も驚いてるけど
奥村くんもびっくりした表情で
見ている。
「あれ、俺の弟の真聖」
川上くんが話始めた。
なんだか
夢から覚めたみたいだった。
「あああっ! そっ、そうなんだー!
じゃあ私、教室行くねっ
芽生ちゃん待ってるだろうし!」
適当に言いはなって
私はその場を走って離れた。
「あっ!おいっ!!」
川上くんの声が聞こえる。
でも完全に無視してしまった。
どれくらい走ったのかな。
「ハァハァ…」
人気のない場所でぴたりと
立ち止まって
呼吸を整えた。
がさつに見えたかな…
適当だって思われたかな…
「嫌われたかな…」
ポツリと呟いた。
手をほてり続けているほっぺに
当てて冷やして
なんとなく落ち込みながら
教室へ向かった。
