________桜が少し咲き始めた、春。


今年は桜の開花が遅かったらしい。
確かに、まだ冬の寒さが残っているような気もしなくもない。



「……由奈?何止まってんのー?」
「あ、ごめんごめんっ…!!」


正門をくぐった所にある大きな桜を見上げて止まっていた私は
急にかかった声でふと我に返り、

その声の主の元へと走って行った。


「ごめんっ!!」
「別に。何見てたのー?桜??」
「うん、桜!今年は咲くの遅いらしいよ。」
「へぇ。確かに、満開ではないね。」




……声の主、私の親友の萌花は
いつもと同じ声のトーンでそう言った。


「なんか萌花テンション低くない?」
「…………わりと平然としてるつもりなんだけどな。」
「……あ!!ごめんっ………。」
「ありえなくない!?普通、高校入って新しい出会い欲しいからって彼女フる!!?」



今日は入学式。
昔からずっと憧れていた…華のJKになるんですっ!!


そんな中、萌花のスイッチを朝から入れてしまった。

今日一日大変だ…。。