「……おい。勝ったら教えるって話だったよな?」

スタージャは山賊―――いや、ちゃんと名前があるのだから呼んでやろう。
“スレイリー”の長、マーティーに話しかける。

……“話しかけるなんて、そんな優しいもんじゃないか。”と、スタージャは内心思う。
わざと低い声を出し、威圧的に迫っているのだから。

「……教えろ。何処にあるんだ、“ルビー”は?」

そう言いながらマーティーの胸倉をぐっと掴み、自分の顔に近づける。

息がかかりそうなほど近くなった顔。
この顔の距離なら、本当は良い場面なのだろうが……そんなはずはない。

なんと言ったって戦場なのである。

“早く言えよ!”と思いながら睨んでいるスタージャと、
地面に視線を落とし見ていられない位、全身が怯えてるマーティー。

そこにあるのは“勝者”と“敗者”というもののみ。

「“ルビー”は何処なんだよ、“ルビー”は。」

なかなか話さないマーティーにイライラしながらスタージャは怒鳴り散らす。

長年探し続けてる“ルビー”
“ルビー”というのは、
世界中に散りばめられているという神宝石のなかの一つだ。

ただの宝石ではない。
“神宝石の全てを集めれば願いが叶う”という大変ありがたいものなのだ。

だが……選ばれた者しか触れないという。
ということはだ。

選ばれなかったにもかかわらず触った者は一瞬であの世行きになる。
と、そんな神宝石をスタージャは世界中探しまわっていた。

……あの日の真実を知りたいが為。