空賊。

「やっぱり……偶然ではなく必然か……」

今この瞬間に目覚めたことも。ユラと関係があるに違いない。

「……行こう。」

そう呟いて、炎が作った道を歩いていく。
路地裏へと続いていく炎の道。
……その道が途切れたところには、隠れ家ともいうべき小さな家があった。

古ぼけた小窓から家の中を覗いてみる。

「ユサ……大丈夫か、ユサ。」

ユラの声と思われる声がユサという少女に必死に話しかけている。

古ぼけた窓なので中の様子をはっきりと見えないが、
ユサという少女の体調が思わしくないのだろう。

「ユサごめんな、ユサ。今日も薬が手に入らなくて。
満足な食べ物もないしな……これじゃユサは……」

ユラの落胆した声に、か細い声がユラの声を遮る。

「ユラ……お兄ちゃん……
いつ……も、ありがとう……ね……でも……もう、いい……の。」