空賊。

わけが分からないことばかりだ。
だが……妙に心に引っ掛かるものがあった。

“ユラの存在”

もしかして、あの出会いが偶然でなかったとしたら?
あの時感じたものは?

ユラはあたしの名を聞いたことがあると言っていた。
……この夢を見たのも、ユラに会った後のことだ。
偶然でなく必然だったとしたら……

辻褄が合うのではないだろうか。

そう考えると、
いてもたってもいられないという気持ちが押し寄せてくる。

……あたしと同じ夢を、ユラも見ていたかもしれない。

行かなければ。
この不思議な感覚は、“ユラに会え”と言っているんだろう。
きっと……あの女性が言っている。

スタージャは胸元を探り、紙とペンを取り出す。
そして、紙に走り書きして薬瓶の中に入れた。

「ラルク……行ってくるな。」

寝ているラルクに向かってそう呟き、スタージャは町へと向かった。