「そうか……」

その身に纏っている雰囲気にこの言葉以外、何も言えなかった。

人は皆、他人には言えない何かを抱えている。
その何かは人それぞれで。
後ろ暗い人生を歩んできた者や、犯した罪など様々だろう。

……そんな中でも、
この男にはとてつもない闇が見えた気がした。
いや、気がしただけならいいが。

「……じゃあな。」

その場を立ち去ろうとする男に、
腕を引っ張ってとっさに引き留めてしまう。

何故引き留めたのかは分からない。
ただ、このままでは終わらないとスタージャの直感が告げていた。
この男とはこれから先、関係を持っていくだろうと。

「……何だ?」

不思議そうにこちらを見る男。

それもそうだろう。
引き留めてしまったのだから。