空賊。

「……無いですから。」

“あいつらにやる金はねぇ”と思いながら呟くと再び拳が飛んでくる。

あたしがこんなに我慢してるというのに。
町の人に被害が及ばないようにしているのに……

スタージャの中で何かがぶちっと切れた。

「無いって言ってんだろ。」

低くそう呟く。

やっぱり、ラルクを来させないで良かった。
こんなやつら、ラルクには相手にもならないだろう。
しかし、そんなことが言いたいのではない。
大好きで大切な弟分のラルクに、
こいつらの汚い手を触れさせたくなかった。

「あ?俺らにそんな口きいて良いと思ってんのか?」

スタージャの胸倉を掴む巨体の男。
掴まれたスタージャも、胸倉を掴む。

当然、スタージャの体は宙だ。
スタージャの体格と巨体の男の体格は天と地ほども差がある。
いや、言い過ぎかもしれないが。

スタージャの約二人分が巨体の男というところだろう。
いかにスタージャが小さくて、巨体の男が大きいかが分かる。